虫刺されの種類
虫に刺されたときの症状は、原因となる虫の種類、刺されたヒトの年齢、刺された頻度によって個人差が大きいのが特徴です。どの虫に刺された場合でも、中心に刺し口があります。皮膚の症状から、虫を特定することは困難ですが、ある程度、推測することはできます。なお、蜂に刺された場合は気分が悪くなったり、意識を失ったりすることがあり厳重な注意が必要です。を追加してください。
蚊
蚊に刺されると、蚊の唾液腺物質が注入されるため、それに対するアレルギー反応が生じます。大人ではジンマシンのように少し盛り上がって痒みを伴い、しばらくすると消える場合がほとんどです。しかし子供の場合、比較的大きく赤くジクジクした腫れがしばらく残ることがあり、一見、蚊にさされたようには見えないことがあります。そして、かゆみも激しいため、治るのにも時間がかかります。年を経るごとにジクジクする反応は軽くなり、ジンマシンの様な反応だけが残るようになっていきます。(これはウルシ職人がウルシに触れているうちにウルシにかぶれにくくなる現象とよく似ています。)ただし、蚊に刺された後に、発熱や全身倦怠感などの全身症状を伴い、刺されたところが潰瘍になって治りにくいなど、激しい反応をおこす場合には精密検査が必要です。
スキンケア蚊に刺されないよう長袖、長ズボンなどを履きましょう。防虫スプレーも効果的ですが、乳幼児には不向きです。子供の場合、とびひのきっかけとなることがありますから、刺さされたところにガーゼを当てて、引っ掻き動作による悪化を予防してください。
ノミ
現在、日本で問題となるのはネコノミです。イヌノミ、ヒトノミはほとんど見られません。ネコノミは体長約2mmで、目で見える大きさですが、活発に飛び跳ねて動くため、刺されて痒みを感じたときには、皮膚から離れており、皮膚で直接ノミを見つけることは困難です。ネコノミは、ペットとして猫を飼っていなくても、公園や歩道、砂場などにいます。またネコノミは犬にも寄生します。動物の場合は毛の中に潜り込んで離れないため、ペットの体をよく調べて駆除する必要があります。ノミによる刺し傷も、蚊に刺されたときと同様、ノミの唾液に対するアレルギー反応で生じます。大人でも強いアレルギー反応のため、赤みだけでなく比較的大きな水疱を生じることもあります。しかし、次第にジンマシン型の反応となり、ついには反応がみられなくなります。ノミは膝の高さ程度までしが飛べないため、膝から下に多く見られますが、寝ているときに刺された場合は、他のどの部位でも出現します。長袖、ズボンをはいてください。また、ノミの卵は畳、床、床下などに生み落とされ、ここで成虫にまで発育します。犬や猫の小屋周辺、縁の下などに殺虫剤を撒く必要があります。
ダニ
ネズミに寄生するイエダニ、鳥に寄生するトリサシダニ、畳などにいるツメダニなどがあります。イエダニの場合はネズミがいる環境でみられます。トリサシダニは屋根裏、瓦の下などの鳥の巣にとり残されたダニが屋内に入り込んで、人を刺すことがあります。ツメダニは畳の中にある卵が、ふ化することによって偶然、人を刺します。これらの血を吸うダニでは腹部、ふともも、腋など皮膚の柔らかいところに皮疹が出る傾向があります。寝具、布団は洗濯、天日干ししたあと、掃除機をかけましょう。衣替えなどで押入から出した寝具や衣類も、すぐに着ずに、洗濯、天日干ししておきましょう。ダニの駆除にはダニ用の殺虫剤が市販されています。もちろん、イエダニの場合はネズミの駆除を、トリサシダニの場合は鳥の巣を取り除く必要があります。ツメダニが原因と断定出来た場合は、畳を業者に出して消毒してもらうのがよいでしょう。
毛虫
毒針毛タイプドクガ、チャドクガ、マツカレハなどによるものです。チャドクガはツバキやサザンカにいます。これらの毛虫に触れると、痒みの強い赤いブツブツが急にたくさん出現してきます。またこれらの幼虫の抜け殻、成虫(ガ)に触れても同じ症状が見られます。もしこのタイプの毛虫に触れたら、まず、毛虫に触れた部分やその周囲の皮膚を、シャワーで勢いよく流してください。セロハンテープを張って剥がすことを繰り返し、皮膚に残った毒針毛を丁寧に除去するのも方法です。その時、決して擦らないようにしてください。塗り薬は、擦り込むように塗らず、軽く塗るだけにしてください。
毒の棘タイプイラガによります。サクラ、バラ、カキ、カエデなどに多く発生します。これらの幼虫に触れると、すぐに激しいチクチクした痛みがはしり、赤くなります。かなり腫れることもあります。庭仕事のときには長袖、長ズボンをは着て、襟、そでのところは体に密着したものにしましょう。
ハチさされ(蜂さされ)
ハチに刺されると、激しい痛みとともに、刺されたところが赤く腫れ上がり、ひどいと水ぶくれが出来たりします。気をつけなければならないことは、皮膚の赤みや激しい痛みを引き起こすハチ毒の刺激性に加え、2回目以降に刺された場合、ハチの毒へのアレルギー反応も加わり、重篤な症状を引き起こすことです。ひどい場合には30分以内にショック症状(じんましん、気分不良、意識消失)をきたす可能性があります。アレルギー反応の程度は人によって個人差がありますが、厳重な注意が必要です。とくにスズメバチに刺された時は毒の量が多いので、初めて刺されたときでもショック症状を引き起こすことがあります。ハチに刺された直後は、まず横になって安静にしましょう。刺されたところを水道水(携帯したペットボトルの水やお茶でも可)で冷やしましょう。アンモニアやおしっこでは効果がありません。じんましんがでる、気分が悪い、意識消失があれば直ちに救急車を呼ぶ必要があります。しばらく様子を見て、特に全身症状がない場合でも、念のため受診しましょう。しっかり治療をしておかないと、治ったと思っても刺されたところが再び腫れることがあります。
ムカデ
夜間、寝ているときにさされることが多いようです。さし傷が2箇所見られるのが特徴です。さされると強い痛みとともに腫れ上がります。さされたら、傷口は水道水で流してください。まれにアレルギー症状を引き起こすことがあります。ステロイド軟膏が有効です。
クラゲ、ウニ、サンゴに触れた
クラゲのように触手をもち、刺胞を発射するもの(カツオノエボシ、いわゆる電気クラゲ)、ウニ、珊瑚、カサゴ等トゲをもったものなどによる皮膚の炎症がよく見られます。こうした海の生物に刺されると、皮膚の痛み、痒み、腫れがひどくなる傾向があります。ひどいと潰瘍になって治りにくくなることもあります。酢などの民間療法はむしろ刺激となることがあり使用しないほうがよいでしょう。ステロイド軟膏が効果があります。気分が悪くなったり、しびれた感じがする、意識障害、呼吸困難等の症状があれば救急車を呼ぶ必要があります。