手荒れ・手の水ぶくれ(汗疱・異汗症・異汗性湿疹)
手荒れとは
皮膚の自然のサイクルでは、角質の元になる細胞が徐々に皮膚表面に上がって、角質層といわれる薄い膜を形成します。そして周期的に古い角質は自然に剥がれ落ちていきます。通常のしっとりとした皮膚は、セラミド、天然保湿成分、皮脂の膜によってバリアー機能が働いています。(詳細は敏感肌の項を参照してください。)しかし、手の皮膚は、他の部分と異なり皮脂を分泌する皮脂腺がほとんどないため、皮脂の膜は薄く、セラミドがバリアー機能の中心です。手は水仕事、シャンプーなど、毎日何らかの刺激が加わるため、皮脂の膜のない手の皮膚の角質層は容易に破壊され、指紋が見えなくなります。痒みを伴う赤いブツブツが出来ることもあります。こうした状態を(主婦)手湿疹といいます。(進行性指掌角皮症ともいいます)。一般に利き手に多い傾向があります。また主婦だけでなく美容師、飲食店員、銀行員など、水やたくさんの紙を扱う仕事の人にも多く見られます。手荒れの状態が続くと皮膚のバリアー機能が低下して皮膚に異物が入り込みやすくなり、かぶれもおこしやすくなります。
アカギレとは
手足の角層は他の部分の皮膚よりも厚いため、皮膚の内側からの水分補給も充分でなく、角質層の水分が不足しがちです。炊事の時に使うタワシやスポンジ、シャンプーの時の髪などの摩擦刺激によって、角質層の弾力性が失われます。特に冬場は乾燥に加えて、寒さで血管が収縮するため乾燥肌がひどくなり、血管や神経の豊富な真皮にまでひび割れが達してしまいます。そのため出血したり激しい痛みを感じます。これがアカギレ(ひび割れ)です。
手荒れ、アカギレのスキンケア
普段から手を清潔に保ち、水仕事を減らす工夫が必要です。炊事や洗濯をするときには、冷たい水は避け、ぬるま湯にしましょう。木綿の手袋の上にゴム手袋をすることも必要です。洗剤の濃度を下げ、手に残った洗剤はしっかりとすすいで、保湿クリームを塗っておきましょう。手荒れは、布団の線維などに引っかけることで悪化します。木綿の手袋をして寝ることも必要です。外出するときは、冷たい風に直接当らないよう手袋をしましょう。用いるシャンプーの量が多かったり、洗う時間が長かったりすると手荒れは進行します。シャンプーの後、指の間にシャンプーや石鹸がよく残ることがありますから、手もしっかりすすいでおきましょう。最近は泡立ちを抑えつつ、汚れもよく落ちるシャンプーや洗剤が市販されています。肌にあった刺激の少ないものを探しましょう。なおアレルギーで生じるものは原因を調べて、取り除く必要があります。
手の水ぶくれ(汗疱,異汗症)
手にごく小さな水疱が出来て、その後に痒みやカサカサやジクジクが生じることがあります。また水疱は認められないものの、赤みブツブツだけが出現する場合もあります。なぜ水疱が出来るかについては、汗の貯留で出来るとする考えと、皮膚の炎症によって出来るとする考えとがあります。いずれが原因かははっきりわかっていません。20~40歳台に多く見られる傾向があります。悪化の引き金には発汗、自律神経のアンバランス、ストレス、消化器の病気、季節の変化があります。また金属アレルギーや足の水虫をはじめとする感染症があると、手に小さな水疱が出来る場合もあります。このように原因や悪化のきっかけはさまざまですので、お一人お一人にあった治療が必要です。
スキンケア手荒れを防ぐために水仕事は減らせるところは減らし、手袋をしましょう。シャンプーも手荒れを悪化させる要因の一つです。痒みがひどい場合は刺激の少ないシャンプーを使いましょう。汗をかくことで悪化する場合は手袋の使用を必要最低限度にしておきましょう。水虫があれば治しておきましょう。また水疱を針でついたりすると炎症を悪化させてしまいます。水疱は破らないようにしましょう。なお他の病気でもこれとよく似た症状を示すことがありますから、診察を受けてください。