しらみ(頭・毛)
アタマジラミは人の頭皮に寄生するシラミで、髪の毛に卵を生みつけ、頭皮から吸血しながら生きています。卵は7日~10日でふ化します。このシラミは頭髪から頭髪への直接接触で容易に感染します。決して頭を不潔にしているから感染するのではありません。最近、保育園、幼稚園、小学校などで流行する傾向にあります。子供どおしの頭髪と頭髪の直接くっつくような遊戯、床に並んで寝たり、枕や帽子、タオル、衣類を共有したりすると感染しやすいので注意が必要です。プールでは水の中よりはむしろ、共同ロッカーで感染することがあります。子供だけでなく教師、両親、兄弟への感染もまれではありません。特に接触の濃厚なお母さんへの感染もよく見られます。
治療
剃毛がもっとも効果的です。普通のシャンプーでは効果がありません。スミスリンシャンプーが市販されていますので、地肌を含めて丁寧に洗いましょう。シャンプーして5分後、お湯ですすぐだけです。シラミの卵がふ化するのに必要な7~10日間にあわせ、中2日で4回スミスリンシャンプーを繰り返してください。毎日する必要はありません。かぶれなどでスミスリンシャンプーを使えない場合は、ワセリンシャンプー法を試してください。ワセリンを30~40g、頭髪と頭皮に塗って、シャワーキャップで覆ったまま一晩おいておきます。ワセリンによって、アタマジラミと卵が呼吸できなくなって駆除できます。
いずれの方法をとっても、卵の抜け殻は、セメント質で髪の毛にがっちりくっついるためとれません。卵の抜け殻が残ってしまうと、治療していない印象を与えることがあります。卵のついた毛を1本ずつ切ってあげてください。下着、タオル、シーツ、枕カバーは、洗う前に熱湯をかけた後、毎日洗濯しましょう。アタマジラミは55℃、10分程度の熱で死にますから、 熱処理やドライクリーニングで十分です。アイロンも効果的です。施設では昼寝時の子供の頭の位置をかえ、寝具、タオルや帽子の共用は避けてください。掃除機もかけてください。吸血の際、かゆみを生じる場合があります。かゆみがひどい場合は医療機関を受診してください。最近はお稽古ごと、スイミング、塾など他の学校の児童との接触も多く、また兄弟を通じて感染が及ぶこともあり学校、保育園単位の対応だけでは不十分です。家族、地域単位での定期的な一斉駆除が望まれます。
毛じらみ
毛じらみは性行為感染症の一つで、陰毛に多く発生します。性行為を介さなくても、毛布や脱衣場、ベッドのシーツを日干ししたり、掃除しないまま使い続けると感染することがあります。頭じらみと同じように、卵を毛に産みつけ、ヒトの血を吸って生きています。そのため、毛じらみの糞が下着につくと、黒い汚れとなります。毛じらみは毛をつかみながら吸血するので、剃毛が効果的です。ただし、短い体毛、頭髪にも寄生するので、陰毛だけ剃っても、効果が十分でないことがあります。治療は、頭じらみ同様、スミスリンシャンプーを使ってください。なお家族内で感染した場合は、家族で一斉に治療を行う必要があります。